「悩んでいるってわけじゃないんですけど……」そう言いながら始まったカウンセリング。
約12年前、私は初めて心理セラピーを受けました。誤解されたくないと思いながら、慎重に言葉を選び話し始めたのです。すると、セラピストは優しくこう言いました。
“大丈夫です。感情を感じるのは自然なことです。安心して何でも話してくださいね。”
心理セラピストになるために、受けたカウンセリング。セラピストになるためには、自分自身の内面を深く理解することが求められるのです。
そのプロセスでは、自分の対人関係や家族歴を振り返り、葛藤やコンプレックス、性格傾向、無意識の自分を理解していきます。これにより、クライアントに自分の問題を投影せず、質の高いカウンセリングを提供できるようになります。
私は軽い気持ちでカウンセリングを受けましたが、次第に自分の中に気づいていない「思いや感情」がたくさんあることを知りました。それでも、セラピストにこころを開くのには時間がかかりました。「今どんな感情ですか?」と聞かれても、本当にわからない状態だったのです。
そのくらい、自分の本当の気持ちや感情を見ないように生きていました。また、私の家族は喧嘩が多く「感情を見せると嫌な思いをする原因になる」という強い思い込みも持っていたのです。
そのため、感情を無意識に抑え込むクセが当たり前に。それが、心理セラピストになるために自分と深く向き合う流れになるとは、運命的でした。
こころのモヤモヤの本当の理由
あるとき、当時の恋人についてセラピストに話をしました。
「彼は無理して人付き合いをして、いつも疲れているんです。それを見るとモヤモヤします」と、私は話しました。
そのときのセラピストとの対話で、私の無意識に潜む本当の悩みが明らかになりました。
セラピスト「彼が無理していると、どうしてわかるんですか?」
私「だって、疲れているからです。無理しているのがわかります」
セラピスト「仮に、もし彼が無理して疲れているとします。それは、あなたにとってどんな問題がありますか?」
私 「彼が疲れていると、私がケアしないといけないんです」
セラピスト「どうしてケアしないといけないと感じるのですか」
私「ケアしないと、会えなくなります」
セラピスト「なぜケアしないと、会えなくなると感じるんですか?」
私「体調が悪いって言われて会えなくなったことがあるんです。だから、ケアしてあげないと会えないと思っています」
セラピスト「もし、あなたが彼をケアしなくなったら、関係はどうなる気がしますか?」
私「優しくないって思われるだろうし。わがままな女って思われて、嫌われると思います」
このセッションの中で、私が苦しんでいた本当の理由は恋人の疲れではないことがわかりました。それは、無意識に抱えていた「わたしは、わがまま」という自己イメージでした。
「わがままな自分は、ダメな人」という思い込みが、こころをモヤモヤさせていたのです。これは、潜在意識にある過去の体験から思い込んだもの。
そのため「相手を気遣うこと」を無意識に優先し、自分の「本当の気持ち」は抑えていたのです。また、相手に役に立つ自分であることで、ネガティブな自己イメージをさけることができます。そして「相手が無理をしているように感じる」のは「自分が無意識に無理をしている」から、相手もそうに違いないと感じていたのです。
このように、潜在意識にすでにある「感覚」をもとに、身体は自動的に反応して行動を選択しています。相手との関係で感じることから、自分の心の奥が、どんな世界なのかを知ることができます。
潜在意識がもたらす影響
私たちは普段、自分が「なぜモヤモヤする」のか「何に悩んでいるのか」気づけないことが多い。その理由は、潜在意識の中に隠れているからなのです。
潜在意識は、普段は気づかない深い部分に存在します。そこには、過去の体験から無意識に信じ込んでしまった「自己イメージ」があります。
私たちの自己イメージやアイデンティティは、感覚や感情を生み出し、無意識のうちに行動に大きな影響を与えています。
そのことを、心理学者カール・ユングはこう言いました。
“無意識を意識化しない限り、それはあなたの人生を支配し、あなたはそれを運命と呼ぶだろう。”
未解決の問題や抑圧した感情をそのままにしておくと、それが外側の現実として現れます。例えば、人間関係や健康問題、人生の選択など、思い通りにいかない出来事として現れるのです。そして、理想に向かって行くとき、未解決の問題や抑圧した感情が、大きな壁となりあらわれます。
あなたの潜在意識のサインに気づけば 「人生は変わる」
もし、あなたの人生でモヤモヤすることや、繰り返されるパターンがあるとしたら、それは潜在意識からのサインかもしれません。潜在意識に気づくことで、自分自身の新たな可能性を発見できます。
私は心理学を学んだ後、約12年間にわたって潜在意識(無意識)を探求し、自分自身の潜在意識と向き合い続けてきました。その結果、常に何かに悩んでいた人生が、満ち足りた人生へと変わっていく経験を深めることができました。この貴重な体験を一冊の本にまとめ、電子書籍として出版しました。
出版した書籍『気づけば、つい頑張り過ぎてしまう私が、ありのままで幸せになれた「こころの整え方」』では、私の体験をさらに詳しくお伝えしています。
本書では、私自身のストーリーを交えながら、こころの葛藤がどのように生まれ、現実に影響を与えていくのかを明らかにしています。そして「満ち足りた人生に変える具体的な方法」について書き下ろしました。また、無料特典に『満ち足りた人生に変える「ワークブック」』をつけています。こちらを活用して、自己理解にお役立て下さい。
本書は、自己理解だけでなく、他者理解にも役立つ内容です。こころが満ち足りた人生を目指したい方は、ぜひ手に取って参考にしてみてください。